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2024年03月08日

生後まもなく抗レトロウイルス療法を開始した一部の小児では治療中止後もHIVが抑制される可能性がある
Some children who start antiretrovirals very early may control HIV after stopping treatment

写真
Dr Deborah Persaud at CROI 2024. Photo by Roger Pebody.

米国Denverで開催されたCROI 2024で発表された研究結果によると、生後2日以内にHIV治療を開始した小児のごく一部では、抗レトロウイルス療法中止後もウイルス抑制が持続する可能性がある。

抗レトロウイルス療法(ART)を受けていない HIV感染妊婦は、妊娠、出産、授乳中の母子感染率が15~45%の可能性がある。抗レトロウイルス薬の服用によってそのリスクは1%未満に低下するが、タイムリーに産前ケアを受けていなかったり、治療を受ける機会がない女性もいる。

これは、Mississippi babyとして知られている子どもの母親についての症例報告であり、母親は治療を受けておらず、出産時に検出可能なウイルス量が確認された。母子感染のリスクが高いため、生後30時間で乳児に抗レトロウイルス薬の併用を開始したが、それでもウイルスに感染した。この乳児の家族は、生後18ヵ月時点で治療を中断したが、数ヵ月後に再来院した時ウイルス抑制が持続しており、これは予想外のことであった。

残念ながら、この女児のウイルス量は 27ヵ月の無治療期間後にリバウンドがみられた。しかし、この症例によって、きわめて早期に治療を開始すれば、特に小児ではウイルスリザバーの保有量を制限でき、機能的治癒を可能にすることができるというエビデンスがさらに裏付けられた。

さらに詳細に知るために、ブラジル、ハイチ、タイ、米国、サハラ以南のアフリカにあるいくつかの郡において、子宮内でのHIV感染リスクが高い乳児を対象として試験を実施した。子宮内でHIV感染し、生後48時間以内にARTを開始した小児54名のうち、ほとんどが完全なウイルス抑制を維持できなかった。これは、おそらくアドヒアランス不良が原因であったと考えられる。

いずれもウイルス量が検出限界値未満であり、サハラ以南のアフリカ出身の小児6名であり、注意深くモニタリングしながら治療を中断するための他の適格基準を満たしていた。彼らは、年齢中央値5.5歳で治療中断を開始し、4名は48週間以上HIV寛解を維持した。女児1名は80週間ウイルス量が検出限界値未満に抑えられた後にウイルスのリバウンドが生じたが、それ以外は48週、52週、64週時点でも寛解状態であった。

これらの有望な結果は、HIV治療研究の手がかりとなるが、現在のところ、このような早期治療を受けられる人たちは限られている。子宮内でHIVに感染する可能性のあるすべての乳児に対して、直ちに新生児検査と治療開始を提供する必要であると、Persaud氏は述べた。

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This material is based on an original copyright publication by NAM Publications, an independent HIV information charity based in the UK. Permission for this adaptation has been granted by NAM. The original publication can be viewed at www.aidsmap.com. NAM cannot be held responsible for the accuracy of the adaptation nor the local relevance of the text.

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